図書館司書に溺愛を捧ぐ
どれだけ重なっていたかわからない。
でも離れた瞬間とても寂しくなった。
見上げると基紀さんは弾けんばかりの笑顔になっていて、さっきまでは彼も緊張していたんだと思った。

「紗夜ちゃん。すぐにとは言いません。結婚を前提に付き合ってください」

「はい。よろしくお願いします」

「これは俺からの気持ちです」

小箱を開けるとダイヤが原石のまま入っていた。
驚いて基紀さんの顔を見ると笑っていた。

「ごめん、指輪のサイズも分からなくて用意できなかった。これで一緒に考えて作ってもらおう」

え?原石もらうなんてこんなの初めて聞いた。

「高い、ですよね。いいのかな。私なんかが貰って」

「紗夜ちゃんが受け取ってくれなかったらゴミ箱行きだよ」

「嘘!」

「本当。君以外に渡す人はいない」

「ありがとう」

私はそう言うと初めて自分から彼の胸に飛び込んだ。
基紀さんは私をしっかりと受け止めてくれ、またキスをしてくれた。

ウェイターを呼び、ケーキを前に写真を撮ってもらった。
ケーキを包んでもらい、私たちは車に乗り込んだ。

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