図書館司書に溺愛を捧ぐ
またお風呂でしてしまった私を抱きかかえバスタオルを巻きリビングへ連れて行ってくれた。
ソファに座ると新しいTシャツを羽織らせてくれ、髪の毛にドライヤーまでかけてくれた。

ふと見ると基紀さんの髪の毛はまだ濡れたまま。
私は基紀さんに隣に座るようお願いして、私が乾かしてあげた。

「嬉しいよ。紗夜にしてもらえるなんて嬉しくてたまらない。現実なのか不安になる」

「現実です。でも私もドキドキが止まりません」

「可愛すぎるだろ」

向かい合いながらドライヤーをかける私に掠めるようなキスをまた落としてきた。

いつの間にやら紗夜ちゃんから紗夜に変わっていた。
そんなことさえも嬉しい。

髪の毛が乾くと飲み物を持ってきてくれた。
私たちはピッタリとソファで寄り添っていた。
間接照明だけをつけた中、外を見ると周りには高いマンションもビルもない。
駅側は明るいのかもしれないが窓からは駅は見えず夜景がとても綺麗。

「すごく眺めがいいですね。毎日こんな景色を見て過ごせるなんていいですね」

「そうだな。俺もこの眺めが気に入って購入したんだ。この土地に思い入れもあったし、俺が設計をすることになったのには何か縁があるのかなと思ったし」

「そうなんですね。今日のレストランもこの部屋もみんな素敵ですね。どこも陽の光がよく入る明るいものが多いんですね」

「洞窟のように、とか指定がない限り陽の光は最大限に取り入れていきたいと思ってるんだ。こればかりは自然からの恵みだからね。それに木をなるべく使うようにってことも考えているかな」

温かな基紀さんらしいテーマだと思った。
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