苺にはもうなれない

先に門扉を開けて、優大くんが私を待っていてくれた。

「まだ緊張していますか?」
小声で聞いてくる。

「……もちろんです。でも、優大くんのご家族との時間は楽しみです」
そう答えると、
「良かった」
と、優大くんは笑った。


優大くんのお父さんが玄関ドアを開けて、
「母さーん、連れて帰ってきたよー。ただいま〜」
と声を張った。

パタパタと足音が近づいてきて、
「おかえりー!車、混んでへんかった?」
と、スッキリとしたショートヘアの女性が顔を出した。

優大くんのお母さん!!

優大くんと、似てる!!

美人!!


「母さん、ただいまー」
優大くんが声をかけた。

「優大、おかえりー!」
優大くんのお母さんは満面の笑みで優大くんを迎えて、
「早く、早く紹介して!!」
と、ウズウズしている。

なんとなく楽しい雰囲気の人だ。
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