苺にはもうなれない

「深雪さん、オレの母親です。……で、母さん、小森深雪さんです。オレの恋人です」
優大くんが少し照れながら紹介してくれた。

「あっ、父さんの時にはそんな挨拶してなかったのに」
優大くんのお父さんが口を尖らせた。

「堅苦しいのはいいって言ってたやん」
優大くんが笑う。


私は頭を下げて、
「初めまして、小森深雪と申します」
と改めて自己紹介した。

「優大の母ですぅ!遠いところから、ありがとうねぇー。ずっと会いたかったんよー」

ん?
ずっと?

「優大から恋人が出来たーって聞かされてから、ずっとずっと会いたかったんよ〜!」
優大くんのお母さんはコロコロ笑う。

「なんか連絡の頻度が落ちたなって思って問い詰めたら、恋人がいるって言うし。会わせてって何回言うたか!」

「……その話はもうええやん。ってか、まだ玄関に入っただけで、こんな話しこむ?」
優大くんがそう言って、
「深雪さん、上がってください」
と、私の荷物を持ってくれた。

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