苺にはもうなれない

「ホンマやわ!上がって、上がって!!ごめんねー、気ぃつかへんで!」
優大くんのお母さんがそう言ってから、
「優大!深雪さんとリビング行ってて!」
と、指示を出した。


私は優大くんに連れられて、リビングに移動する。

白い壁。
淡いブルーのカーテン。

白いソファーに、グレーのクッション。

整頓されていて、モデルハウスの中にいるみたいな気持ちになる。




「それで、こういう時って何から聞いたらいいんやろうか?」
優大くんのお父さんが、優大くん本人に尋ねている。

「いや、それをオレに聞く?」
優大くんが困った顔をしている。

コーヒーを運んできてくれた優大くんのお母さんも、
「母さんも聞きたいことがいっぱいあって、頭の中で整頓出来ひんわー。困ったなぁ〜」
と、笑う。

「いやいや、落ち着こうよ。みんな、緊張し過ぎやで」
優大くんがそう言うと、
「恋人を紹介されるなんて、初めてなんやもん。緊張もするわ〜」
と、優大くんのお母さんが優大くんの肩をバシバシ叩いた。



……えっ?



初めて?




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