苺にはもうなれない

「……優大くん、弟さんに……、蒼大くんにご挨拶してもいいですか?」

「ありがとうございます。オレも蒼大に深雪さんのこと、紹介したいです」

優大くんはそう言って、こっちに来てくださいと、階段をおりて1階の和室に連れて行ってくれた。




お仏壇の前に座る。

私は蒼大くんの遺影写真に向かって、
「初めまして」
と呟いた。

学生服を着て、ニッコリ笑っている蒼大くん。

優大くんと同じ顔で笑っている。


「蒼大、久しぶり」
優大くんは両手を合わせた。

私も両手を合わせて、目を閉じた。







「ここに居たん?」
目を開けると、優大くんのお父さんが入り口に立っていた。


「あぁ、うん。深雪さんが蒼大に挨拶したいって言ってくれたから」
優大くんが立ち上がる。

「そうかぁ。良かったなぁ、蒼大。……深雪さん、ありがとうねぇ」

「いえ、そんな……」


「ごはん、出来たってー。食べにおいで」
優大くんのお父さんがそう言って、私達は再びリビングに向かった。

< 274 / 332 >

この作品をシェア

pagetop