苺にはもうなれない
「……優大くん、弟さんに……、蒼大くんにご挨拶してもいいですか?」
「ありがとうございます。オレも蒼大に深雪さんのこと、紹介したいです」
優大くんはそう言って、こっちに来てくださいと、階段をおりて1階の和室に連れて行ってくれた。
お仏壇の前に座る。
私は蒼大くんの遺影写真に向かって、
「初めまして」
と呟いた。
学生服を着て、ニッコリ笑っている蒼大くん。
優大くんと同じ顔で笑っている。
「蒼大、久しぶり」
優大くんは両手を合わせた。
私も両手を合わせて、目を閉じた。
「ここに居たん?」
目を開けると、優大くんのお父さんが入り口に立っていた。
「あぁ、うん。深雪さんが蒼大に挨拶したいって言ってくれたから」
優大くんが立ち上がる。
「そうかぁ。良かったなぁ、蒼大。……深雪さん、ありがとうねぇ」
「いえ、そんな……」
「ごはん、出来たってー。食べにおいで」
優大くんのお父さんがそう言って、私達は再びリビングに向かった。