苺にはもうなれない


リビングのテーブルには存在感抜群のちらし寿司が置かれていた。

サーモンの赤色、卵の黄色、きぬさやの緑色。

美味しそうに煮られた椎茸。

センス良く散りばめられたイクラ。


他にもからあげや、サラダや、お吸い物など、テーブルの上にはごちそうがひしめきあっている。



「美味しそうです……!」
思わずお腹が鳴りそうになるのを、グッとこらえる。


「ホンマに?お口に合うといいんやけど」
優大くんのお母さんが少し不安そうにしている。


「いただきます」

みんなそれぞれ両手を合わせて、お箸を持った。


ちらし寿司を小皿に取って、ひと口食べる。

寿司飯の甘酸っぱい味が、最高に美味しい。



「大丈夫そう?」
優大くんのお母さんが心配そうな顔をしている。


「美味しいです!」


「ホンマに?良かったわ〜」
ホッとした様子で、
「遠慮せんと食べてね」
と、優大くんのお母さんが言ってくれる。


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