苺にはもうなれない

優大くんは、優大くんのお父さんとお仕事の話をしている。

私は優大くんのお母さんと、趣味や私の仕事の話をしていた。


こんな賑やかなごはんは、本当に久しぶりだなぁ。


楽しくて、時間はあっという間に過ぎていく。



食べ終わり、食器の片付けのお手伝いをしていると。

「深雪さん、今日はありがとうね」
と、優大くんのお母さん。

「いえ、こちらこそ!ごはん、美味しかったです」

「また是非遊びに来てね」

ふたりでニコニコ笑っていると、
「今度ふたりで帰ってくる時は、結婚の挨拶かも」
と、私の背後から、いつの間にかそばに来ていた優大くんが言った。



!?





結婚!?






「……えっ、ちょっと、あんた!優大!!そんな大事なことサラッと言って!!深雪さん、固まってはるやないの!」


「あれ?ホンマや」


「え、いえ、大丈夫ですっ」
そう言いつつ、頬が猛烈に熱い。


「あんた、結婚とかそういう大事な話は、ちゃんとふたりで話し合うの!それから親に言うの!……ごめんねー、深雪さん!優大がアホなこと言って〜!」
優大くんのお母さんが、優大くんの肩をバシバシ叩いている。

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