苺にはもうなれない
……いいの?
結婚なんて、本当に夢見ていいの?
夜。
1番にお風呂に入らせてもらって、ほかほかしながら優大くんの部屋で、私の次にお風呂に入っている優大くんを待っている。
ベッドに腰かけて。
ぼんやりと優大くんの部屋を眺める。
小さな優大くんは、ここで過ごしていたんだなぁ。
ココア色の勉強机にも。
深い青色のベッドカバーにも。
幼い優大くんの記憶がきっと残っている。
コンコン。
部屋のドアの向こうから、ノックの音がした。
「深雪さん、入りますよ」
優大くんの声。
「どうぞ」
優大くんが入ってくる。
お風呂上がりで、ほんの少しほてった顔。
「変な感じがします」
優大くんが俯いた。
「オレの実家の部屋に、深雪さんがいる……」
「変ですか?」
「なんか、夢みたいで」
優大くんが近寄ってきて、私をぎゅっと抱きしめた。
「優大くん、髪の毛を乾かさないと風邪引きますよ」
ドキドキがバレないように、わざと冷たいことを言った。