苺にはもうなれない

「すごく楽しかったです。緊張はしたけれど……、ご家族のみなさまに会えて本当に嬉しかったです。優しいご両親ですね」

「良かった」

「あ、ごはん!美味しかったなぁ〜!ちらし寿司もからあげも、食べ過ぎました」


「母さんが喜びます」
優大くんがニッコリ笑う。

それから私の手をとって、
「オレも嬉しかったです。深雪さんが楽しそうだったし、両親と会ってくれたことも、蒼大に挨拶してくれたことも、嬉しかったです」
と言った。


私は優大くんの手をそっと握る。


「今日は特別な日になりました」

久しぶりに家族の温かさに触れることが出来た気がする。

優大くんの周りにいる人達は、本当に優しくて素敵だなと思う。


私もそうなれるかな?


優大くんのそばで。


そんなふうに優しく日々を過ごしたい。





「……深雪さん。さっきオレが言ったことなんですけど」


「え?」



「オレは、深雪さんと家族になりたいです」



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