苺にはもうなれない

「……!!」


「オレとのこと真剣に考えてください」



優大くんの耳がみるみるうちに赤く染まっていく。


首元も真っ赤だ。



私は黙って頷いた。

優大くんの夕焼け空の瞳に、私がうつっている。



「ぎゅっとしてもいいですか?」
私は優大くんのTシャツを掴んで、尋ねる。
声が震えてしまった。

優大くんは、
「どうぞ」
と言って、両手をほんの少し広げた。


両腕を優大くんの背中に回して。

胸に顔を押し付けて。

ぎゅうっと、抱きしめる。


「……好き、です」


そう呟くと、体がふんわりと浮いた。




……えっ!?




一瞬、何が起きたのか分からなかった。



「あの、あの、あのっ!」

慌ててしまって、また「あの」を繰り返してしまう。



だって。

優大くんが私をお姫様抱っこしているから!




「おろしてぇーっ!重いですからー!」



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