【完】好きだからそばにいるんだよ
食事を済ませた日和は白矢と一緒に祖母が待つ病院へと向かった。








受付で祖母の病室を聞き、その部屋に行くと、元気に食事をしている祖母の姿があった。








「あら日和ちゃん来てくれたの?」







「おばぁちゃん...!」






おばぁちゃんだ。いつも元気で優しい笑顔をする、私の大切なおばぁちゃん。






会えて嬉しい。生きていてくれて嬉しいよ。元気にご飯を食べていた。こんなに元気になってくれたんだね。








病院にも関わず、日和は元気な祖母を見て思わずはしゃいでしまった。








「あらあら心配かけたね。もう、大丈夫だから」






温かい。おばぁちゃんの匂いだ。






「うぅ...ひっく。おばぁちゃん、本当に良かった...」







「ふふ。日和ちゃんの声、ちゃんと聞こえていたよ。それに、木乃実ちゃんの声も。ありがとね。おばぁちゃんのことを大切に思ってくれて。おばぁちゃんは幸せだよ。日和ちゃん、おばぁちゃんはこれからも頑張って生きるよ。ひ孫の顔も見たいし」








祖母は白矢に目線を送った。







「えっ!?」





え?え?!えぇーーー!?おおおばぁちゃん!?もしかして私と白矢くんのこと、気づいてる!?ていうか、ひ孫って...!






「おばぁちゃん!まだ早いよ...。それに白矢くんとはそんな///」







動揺する日和とは正反対に、白矢は寒気が起こっていた。なぜならすぐ隣で日和の父が白矢を睨んでいたからだ。






「日和はまだ嫁には行かせん...!」






いつもはあまり大声を出さないパパが大声を出した!?必死になりすぎだよ。







「あら。私はいいわよ?今からでも」






ママも...!私にはまだ早いよ!






「おばぁちゃんも全然構わないよ。日和ちゃんには幸せになってほしいからね」






おばぁちゃん。私はおばぁちゃんが元気にいてくれるだけで幸せだよ?回復が早いって聞いたけど、早すぎだよ。






「ママもおばぁちゃんも気が早いよ。ねぇ白矢くん?」






白矢くんも私と同じように戸惑って、顔が赤くなっている。しかも耳まで...!






「う、うん。俺はまだ、日和さんには可愛い彼女ままでいてほしいですね」







「お前たち付き合っていたのか!?」







あ、パパは知らなかったんだ。それにしても驚きすぎだよ。







「知らなかったのはあなただけよ?」








「あんたはまだまだ鈍いね。子供の頃とちっとも変わらない」








母と祖母にトドメを刺された父は静かに落ち込んでいった。
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