【完】好きだからそばにいるんだよ
「確かに。いつも美味しそうに食べているよな」









それを聞いて、気持ちが焦った白矢は新学期初日の放課後に日和を呼び出して告白した。








ここでアイツらに取られたらどう、取り返せばいいのか。もうこれ以上、黙っている訳にはいかない。











「中原さん。俺と付き合ってほしい」







「ん?」








日和は戸惑った。そして、白矢自身も戸惑い、それと同時に後悔した。








焦りすぎた。もう少し距離を縮めてからでも良かったはずなのに、あんな会話に惑わさられて....。









変な奴だと思われただろう。まだよく知らない男にいきなり告白されて困っているに決まっている。








「あの....!」








「は、はい...!」








信じられなかった。まさかOKされるなんて思ってもみなかった。








だけどその嬉しさはすぐにまた、後悔を生むことになる。








付き合うことになったのはいいけど、こんな半端な関係で長く続くのか?








すぐに離れてはしまうのではないか。








もっとやり方はあった。崩したくない。








この関係を少しでも崩さないようにしようと白矢は決めた。








それから春が終わり、夏が過ぎて、秋になった。








よくここまで続いたな。








会話は大したことのないものばかりで、恋人っぽいことを一切やっていないのに。







このままでいいのか?俺は中原のことを縛っていないか?






中原は本当に俺のことが好きなのか...。








白矢の不安は積もるばかりだった。
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