【完】好きだからそばにいるんだよ
「寂しかったんだ。俺といられなくて」








日和は照れて、声を出さずにコクコクと頷いた。









寂しかったよずっと...。あれ以来、おばぁちゃんが病院に運ばれる夢を見ることが多くなった。







びっくりして起きたのと同時に怖くなって泣いた日もあった。








そんな時は決まって、白矢くんのことを思い出す。







そして自分に大丈夫。おばぁちゃんまだ、元気に生きているって自分に言い聞かせていた。








もちろん、恋しくて寂しいと思う時だってあった。それくらい自分の中で求めているんだって自覚している。







「だってね、転校する前は白矢くんのこと、あんまりよく分からなくて。それから心がいっぱいになるまで白矢くんのこと好きになるって言ったでしょう?」








それは白矢くんからの2度目の告白の時のこと。初めは『好き』とは?『恋』とは?なんて考えていた。









そんなことかあったからもっと私は、白矢くんのことを知りたい。









好きになりたいって気持ちになって、あの返事をした。











「そんな事もあったな。俺のこと、心がいっぱいになるまで好きになった?」









「....うん」







日和の胸の鼓動が早くなった。もっと言いたいことがあるのに、緊張してなかなか言い出せない。









心がいっぱいになるまで白矢くんのこと、好きになったよ。けどね....。









「それで満足したのか?」







満足なんか.....。








「満足してない...!満足するまでって言ったけど、私の心はそれが溢れるくらい白矢くんのことが...んっ!」









言いかけていた口に白矢くんは唇を重ねる。









「すまない。我慢出来なかった。俺もどうしよもないくらい心が日和でいっぱいなんだ」








「白矢くん」







満足なんて言葉、私にはない。と言うより、この言葉は私たちに合ってないんだ。








「離れてから寂しくて、ずっと日和のことを考えていた。キミだけじゃない」








どう表せばいいの?いや、表さない方がいいんだ。










好きや愛しているという言葉で表すことが出来ないくらい、心があなたを求めている。












「私も気づけば白矢くんのことが頭から離れなくなっていて、どうしようもないくらい白矢くんが好きになっていた。そばにいたい。ずっと、白矢くんのそばにいたいって思っていた...!好きだよ白矢くん。私は、白矢くんのことが大好きです!」


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