【完】好きだからそばにいるんだよ
白矢との距離が大きく縮まって、暗かった気持ちが晴れた日和は久しぶりにぴよ吉パンのカスタード味を食べながら帰宅した。







「ただいま〜」







「おかえり日和。ご飯できてるよ」







「母さん。片付け手伝ってくれ」







「はーい。先に食べてて」







「うん」








中原家の夕食は野菜がメイン。








いつもパンばかり食べている日和の健康を気遣っている母の優しさだ。








元々食欲旺盛な日和は野菜でも肉でもなんでも食べる。








いつもの通りもぐもぐと満足そうに食べる日和。







すると父から報告があると急に改まった形で言われた。







「どうしたの?」








日和が聞くと父は『おほん』と咳払いし、話を始めた。








「実はな日和。....夏におばあちゃんが倒れたことがあっただろ?」








「うん。おばあちゃんまだ調子悪いの?」








「少しな。それでこの前、改めて検査をしてもらったら病気が見つかってな」








「....えっ?」








父方の祖母は、幼い頃から日和をとても可愛がっている。








日和がいつも抱いて寝ているぴよ吉さんのぬいぐるみも祖母の手作りだ。








「それでな、しばらくの間おばあちゃんのところに行って看病をしようと思って。おばあちゃんは1人暮らしだから何かと不便だろうから....」








「うん.....」








なんとくなく、父の言いたいことが分かった日和。








おばあちゃんのところに行くということは、転校するということ。
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