【完】好きだからそばにいるんだよ
急に大声を出されてパンが詰まりそうになった。なんとか飲み込んでホッとした。







「中原」







「なーに?」







「今日も中庭でお昼食べるの?」







「うん。白矢くんも一緒に行こう」







「ああ」







白矢 誉(はくや ほまれ)くん。春から付き合っている私の彼氏です。







白矢くんは普段は低血圧なのかよく居眠りをしてるんだ。








今日も中庭に入るお日様を浴びて、お昼ご飯を食べている私の隣で寝ています。








「白矢くんお昼ご飯食べないの?」







「今はいい...」







私たちの会話はいつもこんな感じ。皆はこれが変だと言われる。恋人同士の会話じゃないって。








朝の会話を振り返った日和。最後に美華に言われた言葉が頭をよぎる。








『いい日和。日和はもっと白矢くんの彼女だという自覚を持ちなさい!じゃないと他の女子にすぐ取られるからね!』








みかっちはあんなこと言ってたけど、自覚を持つってどうしたらいいの?








ちらっと白矢の方を見て、お弁当のおかずの卵焼きを白矢の口に近づけた日和。








卵焼きに気づいた白矢は無言で口を開けてひと口で食べた。








あ、食べた。







「美味しい?」







「うん」







そしてまた眠りに入った白矢。日和は残りを食べながら白矢について考え始めた。









そういえば何で白矢くんは私に告白したんだろ。









最初は告白されてびっくりして、その勢いでOKしちゃったけど、改めて考えると白矢くんは私の何を気に入ったのかな?
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