【完】好きだからそばにいるんだよ
「モノづくりで大事なのは何か分かるかい?」




「え?」




「それはね、心だよ。木乃実ちゃんはその人のことがとても好きなのね。だから一生懸命、ひと針ひと針丁寧に縫って、このドレスを完成させた。そうだろ?





木乃実ちゃんは優しい子ね。その子はそんな木乃実ちゃんに思われて幸せね。




木乃実ちゃんがその子にちゃんと伝えられるように、おばあちゃんが勇気を分けてあげる」








握った手を、少し力を入れて木乃実に勇気を込めた。






その祖母の優しさは木乃実には温かすぎた。次第に木乃実の目から涙が出て、止まらなくなった。







「うぅ...こんなに優しくしてもらったの初めて。ありがとうございます。おばあちゃん。私、少し勇気が出ました」







「そう。木乃実ちゃんなら大丈夫よ。おばあちゃんが保証するわ」





「はい...!」






矢島さん。私も応援してるからね。






ピンポーン






「おやおや誰か来たわね」





「おばあちゃん、私がでるよ。はーい。ちょっと待っててください」
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