【完】好きだからそばにいるんだよ
暗い夜道。聞こえるのは虫の声だけ。木乃実はいつ、話を切り出すか迷っていた。すると先に話してきたのは桐斗だった。





「衣装、手芸部行って見たよ。凄かった」





「ありがとう」






木乃実が放課後、どれだけ頑張っていたか。それがドレスに現れて桐斗はようやく木乃実の気持ちを理解することが出来た。







木乃実は今だと思い、立ち止まって桐斗に頭を下げた。





「ごめんなさい...!あんなことを言って...。私、自分勝手だった。本当にごめんなさい」






「謝るのは俺の方だ。木乃実の気持ちに気づかないで、あんな態度をとって...。俺こそごめんなさい」





「桐斗....。いいよ、もう。ねぇ、桐斗」






「何だ?」





「これからも一緒にいてくれる?」





謝ることが出来たら、1番に確認したいこと。これで離れることになるのは仕方ない。






「当たり前だろ。俺たち友だちだろ?」





「友だちか」




友だちより、恋人関係になりたい木乃実にとって、桐斗の返答はちょっと歯がゆかった。






それでもこの日は自然と笑顔になれた。今はまだ、恋人より、大事な友人として桐斗の隣にいたい木乃実。






いつかこの想いを伝えるその日まで、木乃実はその胸に想いをしまっておくことにした。
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