winter love
翌日は錬を送り出してすぐに
実家に戻ることにした。

お母さんに話さないと。


「ただいまー。」

「お帰り。意外に早く戻ってきたね。錬君そんなに忙しいの?」

「今、ドラマの撮影中だから。」

「そうなんだ。
彩奈、なんか調子悪い?」

「え?」

「顔色悪いよ?」

「ちょっとね。ねぇお母さん。」

「何?どーした?」

「私、妊娠してるの。」

「え??誰の子?」

「錬。」

「そうなの!?おめでとう。」

「怒らないの?」

「驚いたけど、怒りはしないよ。彩奈もいい大人だしね。
予定日はいつ?」

「1月。」

「倒れてから一年で彩奈がお母さんになるなんて思ってもみなかったよ。」

「嬉しい?」

「初孫だよ!嬉しいに決まってるじゃん。楽しみだね!
どっちで産むの?」

「迷ってる。」

「どうして?」

「錬とは最短で半年先まで結婚もできなくて。もしかしたら、産まれちゃうかもしれない。錬の仕事とかいろいろ考えたら、こっちで静かに産んで育てた方がいいのかな?って。」

「もしかして、結婚も迷ってる?」

「・・・うん。一人で産んで育てようかなって。」

「彩奈はそれでいいの?」

「錬といたいけど迷惑かけたくないし、錬の人生ダメにしたくなくて。」

「・・・よく考えなさい。母一人で子供を育てるのは、楽なことじゃないからね。彩奈が一番分かってるはず!」

「うん。」

お母さんが一人で
私と弟を育ててくれて
毎日朝から晩まで動き回って
大変な姿を見てきた。
お母さんに迷惑かけないように
自分でできることはしよう
わがままは言わないようにしようって
子供ながらに思ってきたつもり。

母一人だけど
祖父母も近くにいて
みんなから沢山の愛情も貰ってきたから
幸せも多かったけど
親としては辛いこともきっと多かったはず。

お母さんみたいに
この子にも沢山の愛情と幸せな時間を
与えてあげられるかな?
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