地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
まあ、いいか。後でいらないのは消しとこ。
「お父さん、もういいよ。ありがとう。」
「え?いや、まだ──」
「もういいよ。ね?」
「……真穂に似てきたな。」
そんなお父さんのつぶやきは聞こえなかったのでした。
「そろそろ戻らないと行けないから…」
「そうか。……相手が気に入らなかったら断って良いからな。」
「……うん。ありがとう。」
お父さんにスマホを返してもらって私はお母さんの居る部屋に戻った。
「お母さん。写真撮ってもらえたよ。」
「よかったわね。後でデータ送ってね」
「分かった…」
着替えたしメイクも終わったから次は髪かな?
「じゃあ髪も結びましょうか!」
あ。やっぱりそうなんだ。
私はまたイスの上に座らされた。
「…ホントに綺麗な黒髪ね~」
お母さんは私の髪をくしでときながらそう言った。
「そ、そうかな?」
そんなこと思ったことないな…
少しジッとしているといつの間にか上の方でお団子になっていた。
お母さん器用だなぁ…
「まぁ!可愛いわぁ~!うなじがセクシーね~!」
「っ!?」
セ、セセセ、セクシー!?
私はうなじを押さえてお母さんの方に振り返った。