地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
「送っていきますよ。」
「い、いや…大丈夫です。一人で行けます。」
「でも、また迷子になったら困るでしょう?案内しますって!」
捕まれている腕にますます力を込められた。
うぅ…どうしてこの人こんなに必死なの?……ちょっと怖い。
「本当に大丈夫ですから…」
「でも──」
その人が一歩近づいてこようとしたとき
「女性を困らせたらいけないと学びませんでしたか?」
着物を着た男性が私と男性の間に割り込んだ。
っ!?
「お客様には関係ないことです。営業妨害ですよ!」
「女性をナンパするのが営業なんですか?この店はそのようなはしたないことをする所ではないですよ。」
そう言われ男性は顔を真っ赤にして去って行った。
「あの!ありがとうございます!」
私は顔が見えない彼の背中に頭を下げた。
「いいえ。大丈夫ですよ。顔を上げてください。」
私はゆっくり顔を上げた。
……こ、この人ってわ私のお見合い相手の~!
「……あの…もしかして真彩さんですか?僕のお見合い相手の…」
や、やっぱりそうなんだ!
「は、初めまして…水無瀬 真彩です。今日はよろしくお願いします。」
私は自己紹介をして一礼した。