地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
「真彩。」
「え?わぁ!」
時雨くんに話しかけられたと思って時雨くんの方を向くと、以外と顔が近くにあった。
「し、時雨くん?」
「…目。瞑って。」
「え?あ!はいぃ!」
私がギュッと目を瞑ると髪を触られた感覚があった。
な、何されたの?
目を開けると時雨くんは少し離れていた。
「わぁ!真彩可愛い!」
そう言って凛ちゃんは私に鏡を渡してくれた。
何が?
私が鏡をのぞき込むと髪には赤い椿が飾ってあった。
っ!
「こ…れ…」
「そこで手入れされてあった。黒髪に似合いそうで1本貰った。」
私のためにわざわざ?
「…すっごく嬉しい…。ありがとう!」
私は感謝の気持ちを込めて微笑んだ。
「っ…別にいい。俺が勝手にしただけだ。」
そう言って顔をそらされてしまった。
えぇ!なんで?…そんなに私の顔が醜いの?
私は軽くショックを受けていた。
「って、あぁ!真彩!そろそろ時間!」
時計を確認すると昼休み残り5分前を指していた。
「本当だ!」
私たちは急いでお弁当をかたずけた。
「真彩。先行ってるね!」
「う、うん!」
私も後を追おうと走ろうとしたときだった。
「…真彩。」
と、時雨くんに声をかけられた。
「な、なに?」
振り返ると
「言うの忘れてたけど…綺麗だよ。似合ってる。」
と軽く微笑んで言われた。
「…ありがとう。」
私はすぐに前を向いて走り出した。
なにこれ…なにこれ…
私の心臓は朝とは比べものにならないぐらいうるさいかった。