地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
だ、誰!?
倉庫の扉の方を見ると二つの人影が見えた。
逆光でよく見えない…。
二つの陰は私の方に歩いてくる。
と、とりあえず気を失ったふりでもしよう…。
私は目を瞑って足下に耳を傾けた。
「な~んだ!まだ寝てるじゃない。つまんないの~!」
と、女の人の声が聞こえた。
誰の声だろ?聞いたことないな。
「そろそろ薬の効果が切れる頃だろ。」
今度はどこかで聞いたことがある声が聞こえた。
誰だっけ…?ん~。思い出せない…。
「…そんなにこの女が良いの?確かに顔は良い方だけど私の方が良くな~い?」
「……まあ、そうだがこいつが良い。」
顔?いい?何の話をしているんだろう?
私はぽけーっと話を聞いていた。
「…なんでお前なんだろうな。」
…え?今のどういう…こと?
私がその言葉の意味を知るのはもう少し先の話。
「……ねえ。この子起きてない?」
っ!?
「は?」
どちらかが近づいてくる気配がしたと思った次の瞬間。私は男性の方に制服の襟を掴まれて持ち上げられた。
「っ!やっ…め…」
私は苦しくて助けを求める。
「…起きてたのか。」
男性は私を思いっきり投げた。
っ!
「ゴホッ!ゴホッ」
はぁ…はぁ…びっくりした。
私は相手の顔を目をこらしてみた。
っ!?………え?え?
女性の方は金髪碧眼で髪に軽くウェーブが掛かっている綺麗な人だった。
私が驚いたのは男性の方だった。