地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
白鷺さんと瑠斗さんの過去
【白鷺side】
あれは去年の冬の日のことだった。
私は白鷺財閥の令嬢で何でも完璧にしないといけなかった。
私はそんな生活が窮屈で仕方なかった。
でも頑張ったらお父様が褒めてくれた。
『それでこそ俺の娘だ。』
私はその言葉が嬉しかった。心の底から尊敬しているお父様にそう言ってもらうことが私が頑張る理由だった。
でも、聞いてしまった。お父様とお母様が話していることを。
『あの子は本当によくやってくれてるわね。』
『あぁ。俺も鼻が高いよ。』
『…じゃあそろそろね。』
そろそろ?何の話?
『あの子は金持ちの嫁にする。』
私は両親が言っていることが理解できなかった。
金持ちの嫁?
嫁ぐことぐらいは別に良かった。でも私はその次の言葉にショックを受けた。
『あの子にはもうそれぐらいしか使い道がないもの。』
……使い道?
なに…それ。まるで私が道具みたいな…。
『あの子、最近成績落ちてきているし人付き合いも悪いのよね~!』
っ!…本当だけど…そんなこと思ってたなんて…。
私は心の中でもしかしたらお父様は違うと言ってくれるかもしれない…。
そう思っていた。
『そうだな。後は嫁に出したら良い。関わりたくない。』
私は気づいたら家から出ていた。
走って走って…ずっと考えた。
尊敬していた人に裏切られた私は…これからどうすれば良いの?と
それだけを考えて…考えて…気づいたら知らない繁華街にいた。