目覚めたら初恋の人の妻だった。

初恋が散る時


私達は何時も、何時まで変わらないで一緒に
居られると思っていたのが根底から崩れたのは
忘れもしない私が中学2年生の夏。
毎年のように避暑に出掛けていた那須の別荘で
瞬きしている間に均衡が崩れるなんて
思いもしなかった。

その日、プールではしゃぎ過ぎた私は昼寝を
してしまう。
この時に昼寝をしなければよかったのだろうか?
そんな事を長い間自問自答し続ける。

多分、寝ていたのは20分程だったようだが少しの
休息で身体も回復し又、遊ぶつもりでカズ君を探しに
部屋を出てしまった。

庭では姉とカズ君がパラソルの下、水滴が沢山付き
一気に口にしたら生き返りそうなアイスティー2つが
飲み干されるのを待つように置かれているシーンが
何時までも頭から離れなくなるとはこの一歩を
踏み出した時には思いもしなかった。

「カズ君・・」と声を掛けようと思って一歩を
踏み出すとほぼ同時に姉とカズ君の唇が触れた。

カラン・・・アイスティーに入っていた氷が
音を立てたのか、私の恋心が砕け散った音だったのか
解らなかったけれど、確かに音がして私の心は砕けた。

気がつくとさっきまで寝ていたベッドに寝転がって
見慣れた天井が全く知らない天井に見えるほど見続け
もしかしたら夢?そう思い、窓辺から覗くとそこには
カズ君と姉がさっきと同じように座っており、
アイスティーも同じ様に置いてある。

紛れもなく現実にあったこと。

永遠に変わらないと思っていたけれど心の何処かでそれは
あり得ない。何時かこんな事になるのは何処かで
解っていたのかもしれない。
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