目覚めたら初恋の人の妻だった。
急に静かに心臓の音だけが響くような空間に2人で取り残された事への
不安が支配する。
「離して・・・」
「イヤだ・・我儘って思われても一生離さない」
「一緒に居ると苦しいよ・・」
「それは未だ俺に愛情が有るからなんでしょ?」
「・・・・・・」
「答えて・・・・」
「狡いよ…そんな事を聞くなんて・・・」
「柚菜を失いたくないから必死なんだよ。
俺は柚菜が昔からズーっと好きだ!
漸く結婚できたのに、俺が独占できるようになったんだ!
そう簡単に手放せる訳がないじゃないか。
俺は柚菜を大事にしているから、その姉の香菜も守らないと
そう思った。それに幼馴染でもあるから それが間違いだとも
気がつかないで・・・センシティブな内容だから柚菜に
相談できなかったけれど、香菜に協力するなら柚菜にも話すと
言うべきだったんだ。それに協力する方法がそもそも間違っていた。
学生の時と同じような守り方ではダメだったんだ。
今考えると学生の時の守り方も間違っていたかもしれない、
だけど、あの時にはそれが一番良いと、それ以外考えも浮かばなかった
でも、今回は違う。ちゃんと考えれば間違っているのは
解る筈なのに考えるのを怠った俺が悪い。」
腕の中で抵抗している柚菜が少し緩んだ気がするが気のせいかも
しれない。
だけど、卑怯かもしれないけれど力は緩めないよ。
柚菜は頭が良いから、俺が思っている斜め上をいくから安心は出来ない。
「もう、済んだ事です。」
あ~その言い方は俺を許している訳では無い事は解る。
離れようとしている。
胸がチクチクと痛み、胃がせり上がってくる感じにムカムカする。
「どうしたら許してくれる?」
情けない声しか出ない自分がもどかしい・・・
「許すも許さないも無いですよ・・・ご自分の信念を貫いて下さい。
貴方は姉を優先した。それだけです。」
更にズキンと痛む胸。そうだ・・俺は…高校生の頃から何も変わっていない。
自分を取り巻く環境が変わったのに・・・
それなのに高校生の時と同じ考えだった。柚菜は何歩も先を歩んでいたのに
気がつかないフリをした。
置いて行かれているのを認めるのが怖くて。
フイに脳裏にアイツの姿が浮かんだ。
香菜と関わりの無いアイツならきっとこんな思いをさせなかっただろう、
それどころかきっと今みたいな状況になっても上手い言い回しを口に
する事が出来るのだろう・・・
『一那は興味がないだけでしょ? 理系だって知っている人は知ってるよ。』
記憶を取り戻してダイニングテーブルあった万葉集を手にした時に柚菜の
口から出た言葉を思い出し胸が苦しくなる・・・
アイツに奪われてしまう。
なのに俺には柚菜を繋ぎ止める気の利いた科白の1つも思い付かない。
気ばかり焦り、何も口に出来ないで悪戯に時が刻まれる。
このまま沈黙が続けば確実に柚菜は出て行ってしまう。
「やり直したい・・・もう一度あの遊園地の日から・・・」
「無理だよ。あの時は一那の事が大好きだった。それだけだった・・
だけど今は大好きにより愛しているになってしまったから」
”愛している” 一番聞きたかった言葉なのに”さよなら”に聞こえてしまう。
「ッウウ 愛してくれてるならやり直せだろ?」
解らないフリして、言葉を紡ぐ。
「 フッ 」
それは失笑なのか、溜息なのか、判断がつかない位の吐息。
どっちにしろいい流れじゃないのは解る
「愛しているから居られないんだよ・・・愛しているから信じてた。
結婚していたから許せないの。あの時みたいに付き合っていなかったら
許せたけど、今は許せないのが解らないの?」
絞り出すような声にチクりと痛むけれど、もっともっと傷つけた
「解るよ・・でも解るって言ったら柚菜は居なくなってしまう。だから
イヤだ・・」
「一那、子供みたいな事を言わないで。」
「子供じゃないからイヤなんだ。大人の愛だから手放せないんだよ!」
「それは私にだって解るよ・・・
一那に会いに行ったら、お姉ちゃんと出掛ける姿を見て記憶が戻って
事故にあった日の事を思い出して、私がどんな気持ちで
何日も過ごしたか解る?
私はこの関係を簡単に手放すって口にしたと思う?
何日も何日も悩んで眠れない時間を過ごして覚悟を決めたんだよ。」
「・・・・・・・・・」
何も言えるわけがない・・・落ち込んでいるのは解っていたが、
怖くて聞けなかった。
アイツへの恋心を思い出したのかと思ったから・・それを確認したら終わりだ。
そう思っていた。
でも、言葉にしないと伝わらない もしこんな狭量な俺を知ったら
嫌いになるかもしれない
でも、どうせ嫌われるなら本音を口にして思い残す事が無いくらい
自分を曝け出してしまおう・・どうにでもなれ!って気持ちが突如沸いた。
不安が支配する。
「離して・・・」
「イヤだ・・我儘って思われても一生離さない」
「一緒に居ると苦しいよ・・」
「それは未だ俺に愛情が有るからなんでしょ?」
「・・・・・・」
「答えて・・・・」
「狡いよ…そんな事を聞くなんて・・・」
「柚菜を失いたくないから必死なんだよ。
俺は柚菜が昔からズーっと好きだ!
漸く結婚できたのに、俺が独占できるようになったんだ!
そう簡単に手放せる訳がないじゃないか。
俺は柚菜を大事にしているから、その姉の香菜も守らないと
そう思った。それに幼馴染でもあるから それが間違いだとも
気がつかないで・・・センシティブな内容だから柚菜に
相談できなかったけれど、香菜に協力するなら柚菜にも話すと
言うべきだったんだ。それに協力する方法がそもそも間違っていた。
学生の時と同じような守り方ではダメだったんだ。
今考えると学生の時の守り方も間違っていたかもしれない、
だけど、あの時にはそれが一番良いと、それ以外考えも浮かばなかった
でも、今回は違う。ちゃんと考えれば間違っているのは
解る筈なのに考えるのを怠った俺が悪い。」
腕の中で抵抗している柚菜が少し緩んだ気がするが気のせいかも
しれない。
だけど、卑怯かもしれないけれど力は緩めないよ。
柚菜は頭が良いから、俺が思っている斜め上をいくから安心は出来ない。
「もう、済んだ事です。」
あ~その言い方は俺を許している訳では無い事は解る。
離れようとしている。
胸がチクチクと痛み、胃がせり上がってくる感じにムカムカする。
「どうしたら許してくれる?」
情けない声しか出ない自分がもどかしい・・・
「許すも許さないも無いですよ・・・ご自分の信念を貫いて下さい。
貴方は姉を優先した。それだけです。」
更にズキンと痛む胸。そうだ・・俺は…高校生の頃から何も変わっていない。
自分を取り巻く環境が変わったのに・・・
それなのに高校生の時と同じ考えだった。柚菜は何歩も先を歩んでいたのに
気がつかないフリをした。
置いて行かれているのを認めるのが怖くて。
フイに脳裏にアイツの姿が浮かんだ。
香菜と関わりの無いアイツならきっとこんな思いをさせなかっただろう、
それどころかきっと今みたいな状況になっても上手い言い回しを口に
する事が出来るのだろう・・・
『一那は興味がないだけでしょ? 理系だって知っている人は知ってるよ。』
記憶を取り戻してダイニングテーブルあった万葉集を手にした時に柚菜の
口から出た言葉を思い出し胸が苦しくなる・・・
アイツに奪われてしまう。
なのに俺には柚菜を繋ぎ止める気の利いた科白の1つも思い付かない。
気ばかり焦り、何も口に出来ないで悪戯に時が刻まれる。
このまま沈黙が続けば確実に柚菜は出て行ってしまう。
「やり直したい・・・もう一度あの遊園地の日から・・・」
「無理だよ。あの時は一那の事が大好きだった。それだけだった・・
だけど今は大好きにより愛しているになってしまったから」
”愛している” 一番聞きたかった言葉なのに”さよなら”に聞こえてしまう。
「ッウウ 愛してくれてるならやり直せだろ?」
解らないフリして、言葉を紡ぐ。
「 フッ 」
それは失笑なのか、溜息なのか、判断がつかない位の吐息。
どっちにしろいい流れじゃないのは解る
「愛しているから居られないんだよ・・・愛しているから信じてた。
結婚していたから許せないの。あの時みたいに付き合っていなかったら
許せたけど、今は許せないのが解らないの?」
絞り出すような声にチクりと痛むけれど、もっともっと傷つけた
「解るよ・・でも解るって言ったら柚菜は居なくなってしまう。だから
イヤだ・・」
「一那、子供みたいな事を言わないで。」
「子供じゃないからイヤなんだ。大人の愛だから手放せないんだよ!」
「それは私にだって解るよ・・・
一那に会いに行ったら、お姉ちゃんと出掛ける姿を見て記憶が戻って
事故にあった日の事を思い出して、私がどんな気持ちで
何日も過ごしたか解る?
私はこの関係を簡単に手放すって口にしたと思う?
何日も何日も悩んで眠れない時間を過ごして覚悟を決めたんだよ。」
「・・・・・・・・・」
何も言えるわけがない・・・落ち込んでいるのは解っていたが、
怖くて聞けなかった。
アイツへの恋心を思い出したのかと思ったから・・それを確認したら終わりだ。
そう思っていた。
でも、言葉にしないと伝わらない もしこんな狭量な俺を知ったら
嫌いになるかもしれない
でも、どうせ嫌われるなら本音を口にして思い残す事が無いくらい
自分を曝け出してしまおう・・どうにでもなれ!って気持ちが突如沸いた。