目覚めたら初恋の人の妻だった。
不信感
本当に?
あの日、ホテルで一那の手を振り払う事が
出来なかった。
長きにわたり悩んでいた姉との事は誤解と言うより、
不可解な出来事でどんなに説明を受けても全く
理解出来ないでいる。
一那を疑っているのではなく、あの時にホテルで
久々に会った姉の瞳の奥に宿る光が
鏡に映る私の瞳と一緒だったから。
姉は本当に女性としか恋愛に発展しないのだろうか?
そんな疑念があの瞬間過ぎったのは一那に
抱きしめられながら窓に映った
姉の顔が歪んでいたから・・・
良く知っているあの顔は私が中学2年の時に頻繁見ていた
あの頃、あれは夢だったんだと浅い眠りから覚醒する度に
願っていたが鏡に映し出される自分の顔を見て現実に
引き戻される
そんな日を何日も何日も遣り過ごしたから、
あの表情は嫌ってほど見て来た。
鏡の中の自分と同じ表情。
そんな疑問を抱きながら一那の腕から抜け出せず、
絆され、許してしまいそうな自分が怖かった。
大好きで、大好きで仕方が無かった人。
その人と離れる事への恐怖と、留まる事への愚行。
去るのも地獄。
残るのも地獄。
留まっても昔の様に純粋に愛を育む事は
難しいのは解っている
なのに 傷ついたのは私なのに
私以上に傷ついた眼をしている愛しい人に
引導を渡せる筈がない
「ずるい・・・私を傷つけて来たのに、
一那が傷ついている顔するなんて・・」
「そうだよな ごめん 」
笑ってそう口にするけれど、泣きそうな
顔をしている・・・
私だって傷ついたし苦しんだ・・・だから
少し意地悪したくなったのは許して欲しい
もし、拒否されたら潔く諦めよう。
それは意地悪をしたくなった気持ち半分、
自分で踏み出す勇気が無いから
拒否されたらそれが背中を押してくれる
押して貰おうと 運命に委ねた。
「じゃあ、私達婚姻継続を毎年審議して、
納得したらの婚姻期間を継続する形にしない?」
「え・・・婚姻契約ってこと?」
「そう。 私は一那が好きだけれど、
信用は出来ない。それって夫婦としては
致命的だと思うの」
「致命的・・・・」
「だって 私は何年も何回も 一那が帰宅が遅い時は
お姉ちゃんと逢っていると苦しかった。
その想いが 急には消えない。」
「・・・・・・」
「契約は毎年 この日に更新しよう。
お互いが更新しても良いと思ったら更新して、
どちらか片方でも不満があったらそこで契約終了。
異議申し立て無しの即離婚で どうかな??」
こんな恋愛小説のような条件が認められるはずは無い。
一那が嫌だと言ったら私はこの想いに踏ん切りがつく
そう考えていたのに一那はアッサリと了承してしまう。
「良いの??」
「良いもなにも 俺は柚菜が傍に居てくれるんだったら
どんな条件でも呑むつもりだよ香菜にも二度と会わない。
親戚の集まりも香菜が出席するのならば俺は欠席するし、
万が一、何かの集まりに偶然、居合わせても
挨拶すらしないと約束する。」
「そこまでは望んでいないよ・・・現実には
式典で逢う可能性は高いし、あからさまに変な
態度だと逆に噂になるから・・・」
「公の式典には柚菜も参加するだろ?
俺、柚菜の傍から離れる気ないし、 それに万が一
柚菜が参加出来なくても必ず秘書が同行しているから
香菜と会話しなくても違和感はないさ・・
大抵は仕事関係に挨拶するだけで終わるからな!」
予想外の返答に二の句が継げなかった。
他力本願だけれど離れられると・・・
もう一人の意気地なしの私は期待していたから
あのホテルの日から一那は共有スケジュールの
アプリをダウンロードし、つまびらかにしている。
私にはそれを求める事もない。
一那は自分のスマホにも私の顔を認証に追加し、
「自由に見て良いから」と
子供の時によく見た笑顔で言われたら
逆に見る気も失せるわ。
それが一那なりの誠意なのだと言う事は伝わるが、
頭では理解しているけれど心はついて行かない。
姉と遣り取りをしようと思えば幾らでも出来る。
会社だって近い話だったし、会社で電話なり
社用メールを使用すれば私には解らない。
そんな遣り取りをしていた不倫カップルの事案を
何件も処理してきた。
職業柄、一歩外へ出たらパートナーが感知しないところで
幾らでも連絡を取り合う事はが可能なの事は良く知っている。
だからこそ、信頼関係が無いと夫婦生活は成り立たない。
それもこの職業を通じて思った事だった。
其れで言うと私達夫婦は最初から信頼関係は
築けていなかったのかもしれない。
私は姉の影に怯え、一那は先生の影に嫉妬していたのだから。
恋愛感情云々では無い・・・ただ、嫌なのだ・・
一那が私と行った事の無いバーラウンジに
姉と行っていた事や、高級なレストランで記念日を
祝う様に食事をしていた事に嫉妬している。
そこに邪な考えが無いと知ってもやはり割り切れない。
誤解は解けたから前の様に哀しくて一人で
消えてしまいたいと泣く事は無いけれど、
上手く笑えなくなってしまった。
一那は悪くない、私も悪くない。
でも、でも、見えない何かに私達は阻まれているのを
お互いがきっと感じている。
出来なかった。
長きにわたり悩んでいた姉との事は誤解と言うより、
不可解な出来事でどんなに説明を受けても全く
理解出来ないでいる。
一那を疑っているのではなく、あの時にホテルで
久々に会った姉の瞳の奥に宿る光が
鏡に映る私の瞳と一緒だったから。
姉は本当に女性としか恋愛に発展しないのだろうか?
そんな疑念があの瞬間過ぎったのは一那に
抱きしめられながら窓に映った
姉の顔が歪んでいたから・・・
良く知っているあの顔は私が中学2年の時に頻繁見ていた
あの頃、あれは夢だったんだと浅い眠りから覚醒する度に
願っていたが鏡に映し出される自分の顔を見て現実に
引き戻される
そんな日を何日も何日も遣り過ごしたから、
あの表情は嫌ってほど見て来た。
鏡の中の自分と同じ表情。
そんな疑問を抱きながら一那の腕から抜け出せず、
絆され、許してしまいそうな自分が怖かった。
大好きで、大好きで仕方が無かった人。
その人と離れる事への恐怖と、留まる事への愚行。
去るのも地獄。
残るのも地獄。
留まっても昔の様に純粋に愛を育む事は
難しいのは解っている
なのに 傷ついたのは私なのに
私以上に傷ついた眼をしている愛しい人に
引導を渡せる筈がない
「ずるい・・・私を傷つけて来たのに、
一那が傷ついている顔するなんて・・」
「そうだよな ごめん 」
笑ってそう口にするけれど、泣きそうな
顔をしている・・・
私だって傷ついたし苦しんだ・・・だから
少し意地悪したくなったのは許して欲しい
もし、拒否されたら潔く諦めよう。
それは意地悪をしたくなった気持ち半分、
自分で踏み出す勇気が無いから
拒否されたらそれが背中を押してくれる
押して貰おうと 運命に委ねた。
「じゃあ、私達婚姻継続を毎年審議して、
納得したらの婚姻期間を継続する形にしない?」
「え・・・婚姻契約ってこと?」
「そう。 私は一那が好きだけれど、
信用は出来ない。それって夫婦としては
致命的だと思うの」
「致命的・・・・」
「だって 私は何年も何回も 一那が帰宅が遅い時は
お姉ちゃんと逢っていると苦しかった。
その想いが 急には消えない。」
「・・・・・・」
「契約は毎年 この日に更新しよう。
お互いが更新しても良いと思ったら更新して、
どちらか片方でも不満があったらそこで契約終了。
異議申し立て無しの即離婚で どうかな??」
こんな恋愛小説のような条件が認められるはずは無い。
一那が嫌だと言ったら私はこの想いに踏ん切りがつく
そう考えていたのに一那はアッサリと了承してしまう。
「良いの??」
「良いもなにも 俺は柚菜が傍に居てくれるんだったら
どんな条件でも呑むつもりだよ香菜にも二度と会わない。
親戚の集まりも香菜が出席するのならば俺は欠席するし、
万が一、何かの集まりに偶然、居合わせても
挨拶すらしないと約束する。」
「そこまでは望んでいないよ・・・現実には
式典で逢う可能性は高いし、あからさまに変な
態度だと逆に噂になるから・・・」
「公の式典には柚菜も参加するだろ?
俺、柚菜の傍から離れる気ないし、 それに万が一
柚菜が参加出来なくても必ず秘書が同行しているから
香菜と会話しなくても違和感はないさ・・
大抵は仕事関係に挨拶するだけで終わるからな!」
予想外の返答に二の句が継げなかった。
他力本願だけれど離れられると・・・
もう一人の意気地なしの私は期待していたから
あのホテルの日から一那は共有スケジュールの
アプリをダウンロードし、つまびらかにしている。
私にはそれを求める事もない。
一那は自分のスマホにも私の顔を認証に追加し、
「自由に見て良いから」と
子供の時によく見た笑顔で言われたら
逆に見る気も失せるわ。
それが一那なりの誠意なのだと言う事は伝わるが、
頭では理解しているけれど心はついて行かない。
姉と遣り取りをしようと思えば幾らでも出来る。
会社だって近い話だったし、会社で電話なり
社用メールを使用すれば私には解らない。
そんな遣り取りをしていた不倫カップルの事案を
何件も処理してきた。
職業柄、一歩外へ出たらパートナーが感知しないところで
幾らでも連絡を取り合う事はが可能なの事は良く知っている。
だからこそ、信頼関係が無いと夫婦生活は成り立たない。
それもこの職業を通じて思った事だった。
其れで言うと私達夫婦は最初から信頼関係は
築けていなかったのかもしれない。
私は姉の影に怯え、一那は先生の影に嫉妬していたのだから。
恋愛感情云々では無い・・・ただ、嫌なのだ・・
一那が私と行った事の無いバーラウンジに
姉と行っていた事や、高級なレストランで記念日を
祝う様に食事をしていた事に嫉妬している。
そこに邪な考えが無いと知ってもやはり割り切れない。
誤解は解けたから前の様に哀しくて一人で
消えてしまいたいと泣く事は無いけれど、
上手く笑えなくなってしまった。
一那は悪くない、私も悪くない。
でも、でも、見えない何かに私達は阻まれているのを
お互いがきっと感じている。