目覚めたら初恋の人の妻だった。
「本人が口を噤むのであれば自分が見聞きし、
感じた事が真実なんです。」
妻が口にしたその言葉に自分の愚かさを
思い知る。
妻も悩み苦しんだのであろう。
何方の味方も出来ないのだから。
「今まで気がつかなくて済まなかった」
「良いんですよ。 父親なんてそんなものです。
娘たちも父親が自分達の恋愛に首を突っ込んだら
引きますよ。」
何でもない事のように明るく軽く口にする妻に
自分は一生叶わないと項垂れる。
思い返しても娘の恋心を知ったところで
何も出来なかった。
恋は他人がどうこう出来る事では無いのは
痛い程知っている。
誰かのモノでも奪いたい、奪われたい
理性でどうにも出来ない事が多いから自分達の
商売が成り立っている。
それが愛やら恋なんだ。
一那君が一貫して柚菜を想っていた事が
せめてもの救いだのだろう。
妻のように中立で居られるだろうか?
父として自分はどうすべきなのか?
何を大事な娘 2人の為に出来るのか・・・
しかし。ストレッチャーに横たわる娘は自分の
範疇を超えていた。
見た事も無い機械に繋がれ、白を通り越し
透けそうな顔色。
それに縋るように取り乱す何時もは完璧な王子然の
娘婿に安堵を覚える自分は人非人なのか・・・
確かに一人の娘は愛されている・・・・
緊急事態の娘を前にもう一人の娘への気持ちは
薄れていく。
目覚めた娘はある一時期の記憶が抜け落ちていた。
診察をした精神科医の話だと忘れたいほどに
ストレスの掛かる出来事に襲われたのでは?の
見解に一那君は納得がいかぬ表情をしていた。
妻も又 事故前に夫婦で顔を出した時は
楽しげだったと訝し気にしている。
妻と一那君が話している姿を俯瞰者みたいな立場で
耳を傾けていると我が子の事は理解している等と
配偶者だろうが我が子であっても全てが理解している
事などは不可能なのかもしれないと
思わざるを得ない。
職業柄、嘘なんて幾らでも見て来たし隠し事をするのは
当たり前だって一番理解していた筈なのに
身内の事となると盲目。
我が娘は何に、誰かに、心壊されたのか?
短時間の間に大事な娘に何が起きたのだろう。
娘の見た事の無ない生気を失った顔を見ながら
不甲斐なく何も出来ない無力感を味わう。
感じた事が真実なんです。」
妻が口にしたその言葉に自分の愚かさを
思い知る。
妻も悩み苦しんだのであろう。
何方の味方も出来ないのだから。
「今まで気がつかなくて済まなかった」
「良いんですよ。 父親なんてそんなものです。
娘たちも父親が自分達の恋愛に首を突っ込んだら
引きますよ。」
何でもない事のように明るく軽く口にする妻に
自分は一生叶わないと項垂れる。
思い返しても娘の恋心を知ったところで
何も出来なかった。
恋は他人がどうこう出来る事では無いのは
痛い程知っている。
誰かのモノでも奪いたい、奪われたい
理性でどうにも出来ない事が多いから自分達の
商売が成り立っている。
それが愛やら恋なんだ。
一那君が一貫して柚菜を想っていた事が
せめてもの救いだのだろう。
妻のように中立で居られるだろうか?
父として自分はどうすべきなのか?
何を大事な娘 2人の為に出来るのか・・・
しかし。ストレッチャーに横たわる娘は自分の
範疇を超えていた。
見た事も無い機械に繋がれ、白を通り越し
透けそうな顔色。
それに縋るように取り乱す何時もは完璧な王子然の
娘婿に安堵を覚える自分は人非人なのか・・・
確かに一人の娘は愛されている・・・・
緊急事態の娘を前にもう一人の娘への気持ちは
薄れていく。
目覚めた娘はある一時期の記憶が抜け落ちていた。
診察をした精神科医の話だと忘れたいほどに
ストレスの掛かる出来事に襲われたのでは?の
見解に一那君は納得がいかぬ表情をしていた。
妻も又 事故前に夫婦で顔を出した時は
楽しげだったと訝し気にしている。
妻と一那君が話している姿を俯瞰者みたいな立場で
耳を傾けていると我が子の事は理解している等と
配偶者だろうが我が子であっても全てが理解している
事などは不可能なのかもしれないと
思わざるを得ない。
職業柄、嘘なんて幾らでも見て来たし隠し事をするのは
当たり前だって一番理解していた筈なのに
身内の事となると盲目。
我が娘は何に、誰かに、心壊されたのか?
短時間の間に大事な娘に何が起きたのだろう。
娘の見た事の無ない生気を失った顔を見ながら
不甲斐なく何も出来ない無力感を味わう。