目覚めたら初恋の人の妻だった。

許せ!娘婿殿 職業病だ!

一那君の言動、行動を人知れず観察する。

妻と話している姿、スマホで通話している姿
医者に詰め寄っている姿に怪しい所も
後ろめたさも感じられない。

明応進学は止めた方が良いと言いに来た時と同じ瞳で
柚菜を見つめている。

一那君との事を殆ど覚えていないから原因はそこかと
思ったがハズレか???
仕事も忙しいはずなのに病室に寝泊まりしていると
聴き、せめて義父として出来る事をと病室を移動させ
シャワーも付き添い用のベッドもあるから
少しは楽に過ごせるだろうと思う気持ちと
2人で一緒にいたら思い出すのではと淡い期待も
抱いていた。

現実はそんなに甘くなかった。

娘婿と妻とが柚菜を取り合い、妻は自分には何も
言わないが、一那君に対し腹に一物を抱えている様な
気がしてならない。

もしかして、香菜が絡んでいるのか?

考えたくなくて認めたくなくて言及しなかった
残る唯一。

したくは無いが自分の中の正義が調査すべきだと
語りかけている事に目を瞑る訳にはいかない。
ここで目を瞑ってしまったら本能が削がれて今後の
仕事に不利益をもたらすような気がする。



結果は真っ黒だった。
我が娘なのに・・・・
一歩間違えば一那君へのストーキング行為で訴えられても
おかしくない状況に報告書が間違いでは無いかと
何度も何度も確認するが、そこに書かれている事も
写真も香菜で間違いが無かった。
「香菜は何したいんだ!」
思わず出た怒鳴り声に周りを見回すが其々が忙しく
働いている事務所内では気に留める人間は
居なかったのがせめてもの救い。

この状況を一那君は理解しているのか?

理解してはいないだろう。

香菜にとっては最悪だけれど佐倉家にとっては
一那君が柚菜以外に興味が無い事に救われている
状況だ。
しかし、今は一介の社員だが、いずれ取締役に
なるのも時間の問題だからその時には一那君以外が
気がつくだろう。

早めに手を打たねば・・・・

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