目覚めたら初恋の人の妻だった。
娘がT大に進学が決まった時は寝耳に水で
心底驚いたが、同時に嫁に出さないで手許に
置いておけるかもしれないとほくそ笑んだ自分も
いた。
一那君の好意は知っていたが娘が一那君と距離を
置いていたのも、そう考える一因。
なのに蓋を開けてみたら同級生の誰よりも早く
結婚をしてしまった。

娘ともっと仕事の事を話したかった。
もっと、成長を見たかったし、自分が娘の将来に
役立てる知識を伝えられると思っていたのに・・・
アッサリ奪われた。

だから記憶が曖昧で一那君との事を殆ど忘れている
事態にほんの少しだけ溜飲が下がったのも事実。

奪われた娘との時間を取り戻せると・・・・

記憶が戻るまでは佐倉の家で過ごさせようと画策したが
一那君も譲らず、結果 日中だけ佐倉家に。
かなり不満が残ったがこれ以上は不利になりそうなので
一旦引いた。

一那君には言わないが、事務所には記憶を失った娘の
サポートをしたいと・・・
TOP不在なってしまうが快諾して貰えたのは
有難かった。

それに香菜に対する懸念事項も解決をしておかないとの
思いもあった。

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