STRAY CAT Ⅱ



鞠とふたりで過ごすつもりだったが、少し離れてる今じゃそれを叶えるのも難しい。

実際、自立してる鞠は必要最低限以外で連絡もしてこねーし、俺がいてもいなくても、自分のやるべきことに努めてる。



「バカみたいに真っ直ぐなのがお前の良いとこだろ」



「バカでも悩む時は悩むんだよ」



「言うようになったなぁ」



ふっ、とため息をつくみちるさん。

お前がいいならそれでいいけど、と。まるで念を押すようにそう言うと、部屋に入ってきたなずなに呼ばれて、一緒に出ていった。



「仲違いして、やっと復縁したと思ったらトラブってるし、仲直りの次は距離置いて。

お前は一体どうしたいんだよ~」



暖が乗りかかってくる。

……好きなだけじゃ、全然上手くいかねーんだよ。




「はやく仲直りしなよー?

冬休み明け、研修旅行で離れちゃうんだから」



「……わかってる」



リカにも諭されて、そうは言ってみたものの。

どうしたいのか、自分でも分からなくなってる。



「恭くん、今日は集中続かないね」



「……、すみません、江山(えやま)さん」



やばい、ボーッとしてた。

声を掛けられてハッと我に返り、慌てて謝ると「ちょっと休憩しようか」と微笑む彼。



フルールジャパン本社、第二生産事業部。

紗七に変わって、俺に仕事を教えてくれてるのが第二の主任である江山さん。



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