STRAY CAT Ⅱ
第2章 イブ・サチュレーション
◇
「鞠ちゃーんっ」
「リカちゃんっ」
恭と花蔵のビルに仕事で通うこと約2週間。
終業式が終わり、みんながいる高校まで送り届けてもらったわたしは、校門のところで待ってくれていたみんなに駆け寄った。
仕事に行くのも随分慣れた。
相変わらず恭は覚えることが多くて大変そうだけど。
「ん、おつかれ」
「ふふっ、おつかれさま」
金曜日なのに今日は一緒にいてくれるようで。
頭を撫でてくれる恭の視線は優しい。
「……なんか、雰囲気変わったねえ」
こつん、と肘で恭を小突く暖くん。
恭は「いつも通りだろ」と返しているけれど。
「わかる!
なんか、もう一緒にいるの当たり前、みたいな?恋人通り越して、夫婦みたいな雰囲気あるよー」
賛同したリカちゃんにそう言われて、思わず顔が赤くなる。嬉しいやら、恥ずかしいやら。
何も言えないまま恭を見上げるけど、目が合うとわたしの頭をぽんぽんと撫でて。
「一緒に過ごす時間増えたからじゃねーの?」
「恭と鞠ちゃんが同じ中学に通ってた時、
たぶんこんな感じだったんだろうなって思うよね」
同じ中学に、通ってた時。
……わたしと恭は、こんな感じだったんだろうか。