STRAY CAT Ⅱ
第5章 ハーフ・ハーフ
◆ Side Kyo
「はいコレ。……クリスマスプレゼント」
──風呂上がり。
鞠が「遅くなっちゃったけど」と言って、おずおずと差し出してきた紙袋を受け取る。ゆっくりとふたりの時間を過ごしてから先に風呂に入った鞠は、リカからもらったらしいルームウェアに身を包んでいた。
もこもこした、女の子らしい服装のせいか。
いつもより幼く見えるし、さらに可愛らしく見える。
また触れたい気持ちが無いわけじゃねーけど。
……帰ってきてから、ちょっと無理させたしな。
そのあと出掛けてもよかったけど、外が冷え込んでるのと時間が微妙なのもあって、やめた。
鞠はクリスマスデート、したかっただろうに。
「サンキュ。開けていーの?」
紗七に多少怒っていただけで、俺には何の文句も言わない。
それどころか、嬉しそうに薬指の指輪を眺めているのを見ると、本当に鞠は人が良いなと思う。
「うん。喜んでくれるかはわかんないけど」
「お前からもらったものなら、何だって嬉しいんだよ」
ぽんぽんとその頭を撫でて。
紙袋を開封すれば、中から出てきたのは有名ブランドのロゴが刺繍されたマフラーで。
「……クリスマスにマフラーって、無難すぎた?」
ちょっと不安げなその瞳。
それを数秒見つめてから、もこもこの彼女を抱きしめて「すげー嬉しいよ」と思ったことをそのまま伝える。
さっき言った言葉だって、何も嘘じゃない。
鞠が俺にくれたものなら、なんだって嬉しい。
……結構本気で喜んでんだけど、ちゃんと伝わってんだろうか。
鞠のためを思って動いていた割には、空回って何一つ良いところなんて見せられてない。