俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 そんなふうに言い聞かせていたのだが、どうやら伊吹ちゃんにはほかに好きな人がいるらしい。五月の半ばである今、その人とデートするくらいの仲になったと明かされて驚いたところだ。

 開けっ放しにした図書室の入口にふたりで立ち、開館前の掃除をしながら盛り上がる。


「いつ、どうやってそういう関係になったの!?」
「いやそれが、まだ恋人同士になったわけでは……」


 ああ、なるほど。友達以上恋人未満というわけね。

 頬を染める彼女の初々しさにキュンとする。以前から、伊吹ちゃんが男性との付き合いに慣れていないのは知っていたので、ちょっとでも力になれたらと勝手に意気込む。


「このデートでモノにしてらっしゃい! 独身三十路目前女の私のアドバイスが役立つかはかなり怪しいけど、持ってる知識は全部伝授するわ」


 恋愛はうまくいっていないが、婚活のおかげで男性とのデートについてのアドバイスはいろいろとできるので胸を張った。いつの間にか自虐キャラになっている自分は虚しいけれど。
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