俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
「ありがとう。朝美さん」
すっきりした気分でお礼を言うと、彼女は目を泳がせて戸惑いを露わにする。
「別に、なにも感謝されることはしてませんよ。……迷惑はかけたけど」
「あなたのおかげで、逃げてないでぶつかろうって決心できたから。いつどうなるかわからないのは、私も同じだもの」
健康な人だって、明日も何事もなく生きていられる保証はない。だったら、後悔しない選択をしなきゃ。
朝美さんは、最初とは比べ物にならないほど柔らかな表情で私を見つめていた。そして、遠慮がちに口を開く。
「……お腹、触ってもいいですか?」
「どうぞ」
快く了承すると、彼女の白く細い手がそっとお腹に触れる。
「意外と固い」
「あはは、そうね」
率直な感想に笑いをこぼした。しばらく赤ちゃんの存在を確かめるように撫でていた朝美さんの顔に、憂いを帯びた笑みが浮かぶ。
「私もいつかもっと好きな人ができて、その人との赤ちゃんが産めるかな……」
投げやりになりかけていた彼女が未来に希望を抱き始めたように見え、私の心も明るくなっていく。