俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
無責任なことは言えないけれど、きっと実現できると願って笑みを返した、そのとき。朝美さんは突然顔を歪め、胸に手を当てた。
「うっ……」
「朝美さん?」
明らかに様子がおかしい。胸を押さえ、苦痛を露わにして呼吸も荒くなっている。
「胸? 痛いの?」
「大、丈夫……少し待てば、治るから……っ」
以前も似た症状があったのか、彼女は大丈夫だと言い張る。しかし、どう見ても放ってはおけない。先ほどの発言を思い出し、まさか心筋梗塞なのではと背筋に冷や汗が流れる。
咄嗟に周りを見回し、大きく息を吸い込んだ。
「すみません! 誰か、先生を呼んでください!」
とにかく大声で叫ぶと、散歩していた患者や来院した人が異変に気づき、急いで病院の中へ入っていく。きっとすぐに助けてくれるはず。
「朝美さん、今先生が来てくれるからね」
「いい、のに……」
「こんなときに我慢なんかしなくていいのよ」
背中をさすりながら必死に声をかけるが、よくなりそうな気配はなくとてもつらそうだ。おそらくまだ一、二分しか経っていないのに、待つ時間がとても長く感じる。
どうしよう、怖い。このままさらに状態が悪化したら──。