俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
伊吹ちゃんも気合いを入れた様子で「お願いします」と頭を下げたとき、白衣を纏った人物がこちらにやって来るのに気づく。今日も麗しい栄先生だ。
お互いに「おはようございます」と挨拶をすると、彼が伊吹ちゃんに目を向ける。
「たまたま通りかかったら思わぬ話を耳にしちゃったな。浜菜さん、デートする相手がいたんですね」
いっけない、聞かれてた!? 栄先生、失恋確定しちゃったじゃない……なんかごめんなさい。
そんなふうに気の毒に思っていたものの、彼は特にショックを受けた様子はない。むしろ穏やかに微笑んでいる。
「うまくいくといいですね。ああでも、ひとり残念がる人がいるな」
彼が意味深なひと言を口にするので、私はキョトンとした。一番残念がっているのは栄先生本人なんじゃないのだろうか。
「えっ、それって栄先生じゃなく?」
「僕? 違いますよ。もしかして勘違いしてました?」
はっきり断言され、なんだ、あの噂はただのデマだったのかと拍子抜けした。
「あー……すみません。よく図書室に来られるから、伊吹ちゃんに気があるのかと」