俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 もしかして律貴は、私が家を出たあとそれに気づいて探してくれていたの?

 だから、ここまで来ていたのかもしれない。彼が適当なことを言うはずがないし、早く産婦人科へ行かなくちゃ。

 一気に不安に襲われ、私も病院の中へと向かう。走るのはよくないと思い、気は焦るものの普通のペースで足を進める。

 しかし受付にたどり着く前に、急に刺されるような頭痛がして立ち止まった。こめかみの辺りに手を当て、ついさっき律貴が気にしていた症状を思い出す。

 これが高血圧のせい? ついさっきまでなんともなかったのに……!

 頭痛は治まらず、めまいまでしてくる。よろけて近くの椅子の背もたれに掴まると、異変に気づいた人が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。

 それに返答しながらも、恐怖に襲われる。妊娠高血圧症候群になったとき、母体も赤ちゃんも命の危険に関わるという内容が頭の中を巡って。

 私がしっかりしなければ赤ちゃんも危ない。

 痛みやめまいと闘いながら、赤ちゃんの無事をひたすら祈った。


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