俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 彼女の素敵なところはもちろんそれだけではない。本を大切そうに扱う姿、書籍の場所を聞いてもすぐに答えられる有能さ。

 そしてなにより、時々見かける子供たちに読み聞かせをしている姿が印象的で、強く惹かれた。


「なんと、そこには卵を狙う大きな恐竜がいたのです。ぎゃおぉぉぅ~!」
「きゃははは!」


 あの美しい外見からは想像できない、恐竜になりきって叫ぶ彼女には子供たちと一緒に噴き出しそうになった。とにかく楽しそうで、子供が好きであろうことは明らかだ。

 微笑ましいその様子を眺めるのが、俺のもうひとつの癒しの時間で。自分の恋心が確固たるものになっていて、どんな女性が現れても揺らぎはしないと、いつの間にか自信が持てるくらいになっていた。


 それからも、会ったときはさりげなく会話をし、徐々に距離を縮めていった。仲間内で『末永さんが気になって……』などという話が出たものなら、あからさまにけん制して誰も近づけないようにした。

 研修医の間はとにかく時間がなく、それが精一杯。ようやく気持ち的にも余裕ができてきたのは、専門医の資格を取得してからだ。
< 116 / 166 >

この作品をシェア

pagetop