俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
ところが、かなりわかりやすくアプローチしていたつもりだったのに、末永さんは俺の好意にまったく気づかない。
婚活をしているという噂を耳にして危機感を煽られた上に、「よく図書室に来られるから、伊吹ちゃんに気があるのかと」と言われる始末。
告白もしていないから仕方ないのだが、約三年間の片想いがまるで伝わっていない虚しさを感じ、俺はつい本音を口にしてしまった。
「末永さん、あなたが婚期を逃している理由がわかる気がします」
誰よりあなたを想っている人間がここにいるのに、まったく気づいていないなんて。
突然毒を吐いたので彼女は目をまん丸にして驚いていたが、俺はだいぶ腹黒いと自負している。彼女に院内で出会いが訪れないのも、俺が裏でけん制しているせいなのだし。
別に腹黒さを隠しているわけではなく、ときには悪態をつくこともある。皆に優しく、物腰柔らかで紳士的な態度を取ることが多いため、周りが〝栄律貴は優男だ〟と思い込んでいるだけ。
ただ末永さんに対しては、あえていい男の仮面を被っていた節はある。好きな相手に自分をよく見せたいと思うのは普通のことだろう。