俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 あははと苦笑して間違いを認めた直後、栄先生の表情がみるみる〝無〟になっていく。そしてなぜか落胆するようなため息をこぼし、憐れむような目を私に向ける。


「末永さん、あなたが婚期を逃している理由がわかる気がします」


 ……ん? 今、なんて?

 若干デリカシーのない発言に、私はパチパチと瞬きをする。数秒後、意味を理解して「は!?」とすっとんきょうな声を上げた。


「運命の人は意外と身近にいたりしますよ。婚活パーティーもいいけど、日頃からアンテナを張り巡らせてみては? 独身三十路目前女を早く卒業しましょう」


 笑顔はいつも通りキラキラしているのに、それとは不釣り合いな遠慮のない言葉を投げかけられ、私は絶句した。

 よ……余計なお世話! 婚期を逃している理由なんて、自分が一番よくわかってるわよ! ていうか、なんで私が婚活してるって知っているの!?

 彼は唖然とする私に構わず、「じゃあ」と言ってさっさと歩き出す。普段の栄先生とは思えない黒い部分に驚愕して固まっていたものの、じわじわと怒りが込み上げてくる。


「なんなのよアレ……アレのどこが王子様なのよ!?」


 颯爽と去っていく彼の背中と、中身も王子様だろうと今まで信じていた自分自身に向けて叫ぶ私を、伊吹ちゃんが必死に宥めていた。

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