俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

 しかし、呑気にはしていられない状況になる。

 検査の結果、朝美は狭心症であることがわかった。この時点ではただちに手術をしなければならないほどの状態ではなく、薬物治療によって様子を見ることにした。

 ところが症状はよくならず、先日新たに行った検査では冠動脈に細くなっている部分が見つかった。いつ血管が詰まってもおかしくなく、心筋梗塞を起こす可能性が高い危険な状態である。


「最悪の事態になる前にカテーテル治療を行ったほうがいい。狭くなった冠動脈を広げて血液がきちんと流れるようにする手術だ」


 検査のあとに別室で説明をすると、朝美は黒目がちな瞳を見開き、信じられないという様子で青ざめていた。


「心筋梗塞になったら……死ぬの? 私」


 戸惑いと恐怖が交ざった表情で、声を震わせて問いかけられ、こちらの胸も痛くなる。医者になってこういう場面には幾度となく出くわしてきたが、慣れるものではない。

 それでも真実を伝えなければならない。冷静さを崩さず説明する。
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