俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~

「治療を行うのが早ければ早いほど助かる可能性は高くなるよ。症状が現れて三、四時間が経過すると危なくなってくる」
「……あっという間だね」


 朝美は長いまつ毛を伏せて呟いた。

 突然命の危険にさらされた彼女の心情を思うとやりきれない。しかし手術が成功すれば、これからもたくさん好きなことができる。

 リスクを含めつつもそれをしっかりと説明すると、しばらく俯いて考え込んでいた朝美がそろそろと目線を上げる。


「手術、りっくんがしてくれるの?」
「ああ」


 安心させるように微笑んで答えると、彼女の表情も少しだけ緩む。納得したようにゆっくり頷き、「わかった。お願いします」と承諾してくれた。

 知人の担当医になるのは普段とはまた違った緊張感があるが、完璧なオペをするのみ。気を引きしめつつ、朝美に前向きな言葉をかけ続けた。


 手術はとにかく早いほうがいいと説得したが、朝美はどうしてもやらなければならない仕事があると譲らない。結局、一週間後に入院し、その三日後に手術を行うことに決まった。
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