俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
彼女が入院する前日、心臓血管外科の控室のデスクに座り、休憩がてら医療情報をチェックしているところへ明神先生がやってきた。
「お疲れ」と挨拶した彼は、俺の隣に座って弁当を取り出す。食堂の飯より伊吹ちゃんが作る愛妻弁当のほうがうまいのだと、以前無表情でのろけていた。もちろん、俺もより子の手料理が一番なのだが。
今日は短時間のオペが数件入っているがわりと余裕があるようで、彼は彩りのいいおかずを口へ運びながら話しかけてくる。
「明日入院する狭心症の子、ずいぶん栄のこと気に入ってるみたいだな」
どうやら、検査のたびに俺に飛びついてくる朝美はちょっとした有名人になっているらしい。看護師たちにも「先生、お気をつけて……」と若干心配されている。
俺がより子にベタ惚れなのも皆が知っているので妙な噂にはならないが、朝美に好意を抱かれている自覚もあるので、困ったものだと苦笑する。
「彼女が気に入ってるのは外面のいい俺です。買い被っているんですよ、皆」
「栄の腹黒いところも俺は好きだよ」
無表情でさらっと言ってのける彼に、俺は失笑した。