俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
 いろいろとツッコミどころが多い。明神先生とも気を使わない仲を築けている上に、そんなふうに言ってもらえるのは嬉しいけれど。


「誰かさんもそれくらい素直ならな……」
「ん?」
「いえ」


 ぼそっと呟く俺に、彼はキョトンとして首を傾げたものの、すぐに真面目な調子になって話を続ける。


「栄の腕も、買い被っているんじゃなくちゃんと認めている。例の後輩の子に行うPCIだって、研修医時代から携わっているのは君くらいだったし、もう技術を身につけてるんだから」


 PCIというのは経皮的冠動脈形成術といい、朝美にも説明したカテーテル手術のことだ。手首や足のつけ根の血管からカテーテルを挿入し、バルーンで狭くなった血管を広げる。

 患者への負担は少ないが、カテーテルの道筋となるガイドワイヤが滑って血管を傷つけるリスクが高く、医師の経験や技術力に左右される難しい手術だ。

 俺は後期研修医の頃から助手としてこれに携わっていて、今では執刀医として行えるようになった。

 技術を身につけたのは早いほうだと思うが、それは俺を教育してくれる先輩医師のおかげでもある。
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