俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
「明神先生が手本になってくれたからですよ。助手をしながら、先生のやり方を徹底的にコピーしましたし、早くから経験を積ませてもらえたのもありがたかったです」


 明神先生は無駄な動きがなく、猛スピードで手を動かしているわけではないのに、平均的な手術時間よりも早く終える。もちろん、処置は丁寧で完璧だ。

 そんな彼を目標にして今現在も邁進しているが、自分でも人を救えるようになったのだと改めて思うと感慨深い。


「朝美のことも、自分の手で助けてやれる。友人が苦しんでいるのを、指をくわえて見ているだけでいたくないですからね」


 話しながら無意識に自分の手を見つめていると、明神先生がふっと柔らかく表情を崩す。


「カッコいいなぁ。その子に余計惚れられないようにね」
「俺も奥さんひと筋なので問題ありません」


 自信たっぷりに返す俺に、先生は納得したように頷いて穏やかに笑った。


 朝美の病状と同様、身重のより子の体調も当然ながら毎日気にかけている。

 血圧がやや高めなのが気がかりだが、本人も塩分を控えめにしたり体重増加に注意しているようなので様子を見ている。
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