俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
今日は当直なので一日会えないのが残念だ。図書室に行けば顔を見られるが、今日は朝から手術が入っていて時間がなかった。
そろそろより子が仕事を終える頃だと思いながら、手術をした患者の術後の状態を見るため院内を歩いていると、中庭に朝美がいるのを見つけた。
昨日入院し、明日手術を予定している。それまでは検査があるものの、自由時間に大きな制限はない。
中庭をゆっくり散歩している彼女は、浮かない表情をしているのは明らかで、少し声をかけてみようとそちらへ方向転換する。
外は秋晴れでとても気持ちがいい。太陽の眩しさに目を細めて朝美のそばに歩み寄り、俺に気づいた彼女に微笑みかける。
「今日は暖かいな。もうすぐ紅葉で綺麗になるよ」
「……りっくん」
名前を呼んで切なげな瞳をした彼女は、ふらりとこちらに寄って俺の胸にこつんと額をくっつけた。
一瞬、具合が悪くなったのかと焦ったが、そうではなさそうだとすぐに気づく。彼女の手が遠慮がちにそっと胸に当てられたから。
「朝美……」
「私、男の人にこんなふうにしたことないの。不思議だね。死ぬかもしれない状態になって、初めて触れ合いたいって思うなんて」