俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
 嘲笑を漏らす彼女の言葉を聞き、なんとなく心情を察した。

 朝美が検査のときから俺にやたらくっついてきたのは、不安を紛らせるためなのだろうと思っていた。しかしそれだけじゃなく、これまでできなかったことをしたいと思うようになり、俺に甘えていたのだろう。

 幸い木の陰になっていて目立たないし、これで彼女の気持ちが安定するなら受け入れてあげようと、しばしそのままの状態でいた。

 それもほんの一分ほどだろうか、朝美は自分からゆっくり離れる。


「落ち着いた?」
「うん、ありがと」


 気恥ずかしそうにやや俯く彼女の表情は、先ほどよりかは穏やかになっていた。かと思えば、決まりが悪いのか目を泳がせ、どこかふてくされた調子で言う。


「りっくんって、こうやって胸も貸してくれるし私のわがままも聞いてくれるけど、自分からは絶対に触れないよね。頭ポンポンくらいしてくれてもいいのに」


 口を尖らせる彼女に目をしばたたかせた俺は、いたずらっぽく口角を上げる。
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