俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
「好きな人にしかしないよ。奥さんがヤキモチ焼いちゃうし」
正直に返すと、朝美は目を丸くしたあと、いじけたようにぷいっとそっぽを向いた。まるで相手にしてもらえずにすねる子供みたいで、苦笑が漏れる。
わがままもできるだけ聞いてやりたいとは思うが、それは朝美が患者だからだ。やましい感情があって触れることなどありえない。
「朝美も、いつか本当に好きな人ができたら、その人にたくさん抱きしめてもらいな」
明るい未来の話をすると、むくれていた彼女が神妙な顔をして空を見上げる。
「来年の今頃はどうなってるかな、私……」
「恋人ができているかはわからないけど、少なくとも紅葉を見ていると思うよ」
来年だけでなくその先も、朝美は生きていられるのだという意味を込めて言うと、彼女はこちらに目を向けて微笑んだ。
百パーセント大丈夫だと断言してはならないのが医者の心苦しいところだが、明るい未来が必ず待っていると信じている。彼女にも幸せになってもらいたい。