俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
この病気は急激に症状が悪化することがあり、自覚症状がないケースが多い。より子はまさにその状態だろう。すぐに受診させなければ。
急いでスマホを手に取り、より子に電話をかける。しかし、ダイニングテーブルのほうから着信音が聞こえてきて、スマホが置きっぱなしになっていることに気づいた。
勘弁してくれと心の中で呟き、危機感に駆られて急いで部屋を飛び出す。
より子が散歩しているルートは、主に二通りだったはず。公園か、白藍か。そのふたつは逆方向で、俺はとりあえず公園を選んで駆け出した。
ところがこの予想は外れたらしく、道の途中にも公園内にも見当たらない。
「くそ……白藍か」
若干乱れた呼吸をしながら無念の呟きをこぼした。
しかし、病院に行ったならすぐに診てもらえるのだから都合がいいと思い直す。来た道を引き返しながら産婦人科に電話をかけ、より子の状態や受診させたい旨を伝えておいた。
そうして白藍にたどり着くと、なにやら人々が中庭のほうに注目している。騒然とした雰囲気と胸騒ぎを感じたとき、助けを呼ぶより子らしき声が聞こえた。